2006年5月9日火曜日

ストーンウォーク

満月の晩、黒猫は小さな白っぽい石を噛えて帰ってきた。
黒猫は慎重に少女の手に石を落とす。
「きれいな石。ナンナル、これ何?」
「月長石だなぁ。ちょっと疲れているようだ。キナリ貸してご覧」
月は石を胸に充てた。
「もう大丈夫」
石は青みがかった乳白色に輝きだした。
「ねぇ、ヌバタマ。どこで拾ったの?この石」
石が月に逢いたいから連れていけと付き纏っていたことを黒猫は語らない。