2005年1月28日金曜日

月夜のたまご

小包には「お月さんより」と書いてあるので、月が贈ってくれたということにする。
 実際、僕は月をよく眺める。そして、あれこれ語りかける。
自分の部屋の勉強机に向かうと、月がよく見える。勉強より月を眺める時間が長くなるのは、当たり前でしょう?
毎日話を聞いてもらっているから、学校の友達とは違うけど、月も友達なんだと思う。
友達と呼ぶ以外適当な言葉をが見つからない。
 その友達から小包が届いたから、僕は実のところかなり興奮していた。月がプレゼントをくれるはずがないと知りつつ、鼓動は速くなった。
 中には、たまごが入っていた。
たまご?お月さんがたまご?お月さんとたまご?お月さんのたまご?お月さんはたまご?
 僕は夜になるのを待ち、月に聞いた。
「プレゼントありがとう。たまごが入ってた。あのたまごはなに?」
「割ってごらん」
僕は驚いた。たまごが本当に月からの贈り物だとわかったからではなくて、月が初めて返事をしてくれたから。
 たまごを割ってどうなったかは、秘密だ。そう月と約束した。今夜も月と話をする。