2004年7月4日日曜日

からだなくとも

じぃちゃんとばぁちゃんは大恋愛をして一緒になった、と何百回となく聞かされていた。
死ぬ時もふたり仲良く、なんて言っていたけど、そんなのは心中でもしなくちゃ、叶うわけがない。
そしてばぁちゃんが先に逝った。
じぃちゃんは少し寂しそうだ。
明るくしているつもりのようだけど、ご飯の量も減ったし、口数も減った。
ぼくはちょっと迷っている。じぃちゃんに伝えるべきか、どうか。
どんな未練だかしらないけれど、じぃちゃんの影にはばぁちゃんの影が寄り添ったま
まなのだ。
ばぁちゃんがじぃちゃんに惚れていたのはよくわかった。
でも、それを知ったらじぃちゃんは自分の影にヤキモチを妬くかもしれない。
それとも三人?で仲良くやってくれるかな。うん、きっとそうだ。
「ねぇ、じぃちゃん。ちょっと見てよ……」