2003年6月26日木曜日

はたして月へ行けたか

「あの人は本当に月から来て月へ帰るのか?」
とある人に聞かれた。
あまりにも真剣な眼差しで、ぼくは怖じ気づいてしまった。
「ぼくは月まで行ったことないから……」
するとその人は言った。
「ならば私が確かめてこよう」
その時、空を睨み上げ、拳を握りしめるのをぼくは見たんだ。

それからその人には会っていない。
一度小父さんに
「小父さんを空まで追いかけて来た人がいなかった?」
と聞いてみたけど笑い飛ばされただけだった。
あの人のことが忘れられない。なぜだろう。