2019年7月21日日曜日

懐かしく切ない音

小鳥となった青い鳥が肩を離れ、投函口に足を掛けてもう一度言った。
「今より、消えず見えずインクの旅券を持つ者を送る!」
歌うような声だった。
「どうか達者で」
立派な身形の人がそう言って、手を差し出してくれた。握手したその手は、温かくやわらかだった。この手で、ペンを持ち、手紙を書き、そして罪を問われたのだ。
互いに同じようなことを考えたらしく、握り合う手をしばらく見、そして目が合い、少し笑った。
小さくなった青い鳥が投函口に吸い込まれた。「コトン」と手紙が落ちるのと同じ音がして、切ないような甘い気持ちが身体に湧きあがって困る。手紙が自分の手を離れた音。
「本当に親切にしていただきました。お元気……」
言い終わらないうちに、視界が暗くなった。

立派な身形の人と別れるのはつらかった。老ゼルコバとの別れとはまた違う感情だった。
できれば、いつかもう一度会いたい。会えるだろうか。