2010年6月13日日曜日

清潔な私

自分と母親以外の全ての生き物は、清潔だと思っていた。
男の子とかたんぽぽとかキリンになれたら、どんなに清潔だろう。
願いは突然叶うものだ。或る朝、目覚めると私は植物園の向日葵になっていた。ナントカっていう貴重な種類の向日葵であるところの私は、栄養と必要な細菌やプランクトンを計算し、配合された土に植えられ、清浄な水を決まった時間に決まった量を与えられ、分刻みで管理された温度の中、枯れずに生きていく。
太陽の方向もわからず、毎日時計だけを眺めている。
不潔な存在だったあの頃よりは、幸せ。自分が汚いと思わないのは、幸せ。何も楽しくはないけれど。
まだ午後四時二十八分だ。