2004年6月2日水曜日

ニコニコロード掃討作戦

「スキヤキを食したい」
「スキヤキですか、親分。そんなら、スキヤキ鍋と牛肉が入り用でござんすな」
「卵も野菜もである」
「そんなにたくさんの店に盗みに入るのは難儀でござんす」
「ニコニコロードで一度に盗めばよい」
三太と中井は唐草スカーフを鼻の下で結び、明け方前のニコニコロード商店街に向かった。もちろん人通りはなく店のシャッターはすべて閉まっている。
「三太は電灯の埃を盗みたまえ。拙者はシャッターの埃を盗む」
「承知いたしやした」
木登りが得意な三太がスルスルと電灯に登り電灯に積もった真っ黒な埃を盗んでいく。
一方の中井は、シャッターの埃を一軒づつ盗み終えると道路を丁寧に掃いた。
「できたてほやほやのピカピカ商店街になりやしたね、親分」
「よし、メッセージを残さなければ」
さらさらさらのさらり
「ニコニコロードの埃はすべて戴いた。ついては本日夜7時半、スキヤキパーティーを催す。大勢の参加を期待している。大泥棒 サンタとナカイ」
そうしてその夜ニコニコロードの店主たちが持ち寄った材料でスキヤキパーティーが和やかに開かれた。