2002年4月12日金曜日

霧にだまされた話

霧深い早朝。
ぼんやりと見える前を歩いていた人についていったら、いつの間にか知らない場所を歩いていた。
「参ったなあ……」
とつぶやいたら、
「霧の日は、もうひとつの世界と繋がる道ができるんだよ。ちょうど、今朝みたいにね……」
振り返って、そう言った前の人は、深紅の瞳をしていた。