超短編
巣立ちの時、朱雀はまだ翼が重い。羽ばたきを繰り返すが、飛び立てそうにない。父母はとうに姿を見せなくなった。空腹と退屈に倦んだとき、東から光るビー玉が転がってきて、雛朱雀の足元で止まった。暫し弄んでいたが、今度は西の方へ転がり始める。夕日が自分の羽と同じ色だと知った朱雀は、もぞもぞ青い者共がやってきた。あれは好物の「竹の実」に違いない。追って飛ぶ。飛んだ。
西へ