2018年12月6日木曜日

簡潔な説明

鳥籠から出るかどうか、ずいぶん迷った。
人々の顔貌も、恰好も、見たことがないものだった。異国風というのとは、ちょっと違うように思う。
人間だけではなく、鳥や犬や猫と思しき生物も、見たことがない姿形なのだった。何故、鳥や犬や猫だとわかるのか、不思議である。

このまま、この真っ赤な鳥らしき生物と一緒に鳥籠に居たほうが、幾らか安全なのではないかと思ったが、向こうもこちらが珍しいようで、鳥籠の周りを囲まれてしまった。
人だけでなく、犬や猫も集まってしまった。

とてもこちらの言語が通じる人々だとは思えなかったが、何か言わなくてはと考えて
「え~」
と、声を出すと
「こちらに御座しますのは、消えず見えずインクの旅券を持つ、旅のお方である!」
と、赤い鳥らしき生物が、甲高い声で口上を述べた。
鳥籠の扉が重々しく開き始めた。