2017年10月29日日曜日

十月二十八日 ショールーム

地下鉄の駅を出て、傘を開く。目的のショールームへの地図を確認したものの、自分の向いている方向がわからない。少し広い通りまで出て確認しようと歩き出したら、そこにあった。
広げたばかりの傘を畳み、ショールームに入った。八畳ほどだろうか、小さなショールームだ。
ここは、財布と巻尺のショールームである。
機能的な財布、高価な財布、大きな財布、小さな財布。
長い巻尺、短い巻尺、革のケース入り巻尺、ステンレスの巻尺。
財布をひとつ手にして「コインの出し入れの具合を確認したいのです」とスタッフに言うと、真鍮の小皿を差し出してくれた。そこには小さな小さな巻尺がザラザラと入っていた。