2008年3月10日月曜日

星待ち

玻璃のすずらんが、ふるふると揺れると、また一つ星が生まれる。
ぼくは何万年も玻璃のすずらんをじっと見つめてきた。星が生まれたら帳簿に印付ける、それがぼくの役目だ。
だけども、楽な仕事じゃない。玻璃のすずらんは、いつ震え出すかわからない。何年もぴくりともしないときもあれば、帳簿に印を付けているその隙に、また新しい星が生まれることもある。油断できない。
くしゃみどころか欠伸でも、玻璃のすずらんはゆさゆさと揺れてしまうから、常に息を潜めていなければならない。
けれども、もう五千年も前から、ぼくは欠伸を噛み殺し続けている。とてつもなく眠い……。
ぼくが眠ると、玻璃のすずらんの花が一つ、増えるだろう。