2008年1月30日水曜日

無の境地はどこにある

無の境地に至るため、世界各地の秘境に出向き、滝に打たれる。
滝に打たれている最中は、疲労と水圧と冷えで何も考えられなくなる。これを無と呼んでいいものか、私はいつも疑問に思いつつ、なお滝に打たれる。

今、目の前でゴウゴウと落ちるのは、ココアの滝だ。
世界中の滝を訪れたが、無論こんな滝ははじめてである。
早速、服を脱ぎ、滝壺に入る。
疲れた身体に香りと熱さが、容赦なく襲う。
皮膚が今まさに爛れはじめている。なのに、ココアの香りに包まれていることに、幸せすら感じる。
味わったことのないこの恍惚感は、限りなく無の境地に近いかもしれない!

わずかに残った理性は、甘い香りのもたらす煩悩と、全身火傷による死の予感を警告している。