2003年12月26日金曜日

石鹸を泡立てる毬子嬢のこと

大浴場の中は熱気と湯気でモワンとしている。
「さ、モンドちゃん。あっちが空いているわ。座ってちょうだい。」
主水くんが腰をおろすと、毬子嬢は長いお下げをグイッと頭のてっぺんでまとめてから、勢いよく石鹸を泡立てはじめた。
またたく間に毬子の両手には白い泡が山盛りになった。
「髪の毛、しばらく洗ってないんでしょ?かゆいところはない?」
「頭も身体も自分で洗えますから」
主水くんは最後の抵抗を試みた。
「遠慮しないでいいの。自分で洗うよりキレイになるんだから」