2026年8月9日日曜日

崩れる紙3

触れれば崩れるほど脆い紙の町とは誰も教えてくれはしなかった。文字が解読できぬほど滲む紙の町で学問が盛んだったとはとても思えない。苦労して遠いこの町へ来たというのに。故郷の図書館で読んだ歴史書は幻想の書だったか。老人、船乗り、役人……皆がこの町の古くて美しい詩を聞かせてくれたのに。