超短編
六月某日、雨。今季食べ損なっていた空豆を、やっと求めることができた。莢は小振りだが、中の豆は思ったよりずっと立派で行儀よく二つずつ並んでいた。旨い。昨年は莢に包まれ眠る夢が叶ったが、こんなに小さい莢では望みは薄いと思いきや、枕用の空豆だった由。青い空豆の香りいっぱいの中で眠った。
六月某日、雨のち曇。雨が止んだので、苔たちのご機嫌伺いに出掛ける。自転車置き場の下、ブロック塀の陰、ごみ集積所の裏。しゃがみ込んで苔に話しかけていると犬に吠えられる。しっとりと濡れて緑を濃くした苔たち、元気そうで嬉しい。苔の顔と名前が一致しない不勉強を詫びながら、苔を巡って歩く。