2021年5月30日日曜日

願譚 119

真夜中の水族館で下手なバイオリンを弾いて、イルカに白い目で見られたい。

2021年5月28日金曜日

願譚 118

もう三日も警報機を鳴らしっぱなしの踏切に、耳栓をしっかり入れてから「あんたもさみしい身の上だねえ」と話しかけたい。

2021年5月26日水曜日

願譚 117

夜の黒電話が鳴り響き、世界が不眠症になったので、催眠作用のある雨を降らせたい。

2021年5月25日火曜日

願譚 116

 「電話が欲しい」と夜が言うので、目立たぬよう黒電話を贈りたい。

2021年5月22日土曜日

願譚 115

夜中に蕎麦を打ち始める狐を「うるさいよ?」と一応、説得したい。

2021年5月20日木曜日

願譚 114

雨音を音階別に保管したい。


2021年5月18日火曜日

願譚 113

卓上の牧場に小さな羊を飼い、春になったら毛刈りをし、数十年掛けてセーターを編みたい。

2021年5月15日土曜日

願譚 112

世捨て人になったら、いかにも古くてボロい小屋に「未来庵」と名付けて暮らしたい。

2021年5月8日土曜日

願譚 111

独自の文字を作り、その文字で日記を書き、三日坊主で終え、三年後に読めない日記帳を前に頭を抱えたい。

2021年5月7日金曜日

願譚 110

故人が撮った写真を見る時には、幽霊でよいので撮影者による解説を聞きたい。

2021年5月2日日曜日

願譚 109

晴れた日、白猫の抜け毛と蒲公英の綿毛、どちらがよく舞い散るか比べたい。

願譚 108

独りだといつまでも夜更かししてしまうので、グッドナイトコールを梟に頼みたい。