砂粒のような小さな音を拾って、耳の中に落とす。
夢中になって繰り返したら、耳の中に砂時計が出来た。
奏でる。
刻む。
写真というのは、実は饒舌でうるさいほどなのだ。
四年ぶりに引っ張りだしたアルバムは、ほこりを積もらせ始めていたけれど、
一度開いたら、写真たちが一斉におしゃべりを始めた。
「修学旅行の新幹線、車中でカップル誕生多数」
そんなゴシップ記事みたいなことを喋る写真は、アルバムからベリっと剥がしてやった。
ひと通りおしゃべりが収まると、ただの紙切れみたいなフリをする写真たち。もう騙されない。(193字)
その世界ではすべてのものを針金ハンガーから創りだすらしい。
少年が針金ハンガーをグイッと引っ張って出来上がったのは、ボウガンだった。
「戦いがあるのか?」と尋ねると、「イヤ、ここは平和だ」と言って、もう一度グイッと針金ハンガーを変形させた。
ギターだった。少年の歌声が、モノクロの世界に響く。すべてが鉄線、それもまたよい。
職人は私の足に恭しく靴を履かせた。
それはぴったりに見えたのに、職人はなにかが気に入らないらしく、ブツブツ言いながら足を触る。
「作り直します」と職人はキッパリと言い、出したばかりの靴を慌ただしく箱に収めた。
ガラスの靴が、ショーケースに並んでいる。私の靴は、ガラスの靴でなくていいのだ。
でも、どんな靴を作るかは、職人が決めること。
シンデレラにさせられるのか、そうではないのか。
私はしばらく不安な日々を過ごす。