超短編
職人は私の足に恭しく靴を履かせた。
それはぴったりに見えたのに、職人はなにかが気に入らないらしく、ブツブツ言いながら足を触る。
「作り直します」と職人はキッパリと言い、出したばかりの靴を慌ただしく箱に収めた。
ガラスの靴が、ショーケースに並んでいる。私の靴は、ガラスの靴でなくていいのだ。
でも、どんな靴を作るかは、職人が決めること。
シンデレラにさせられるのか、そうではないのか。
私はしばらく不安な日々を過ごす。