「キナリちゃん、何飲む?」
「ココア」
よく晴れた夜、少女と月は鬼の部屋にいた。
「ハイ。どうぞ、めしあがれ」
「いただきます!…オニ、今日のクッキーはカクベツにおいしいよ」
少女がそういうと、ココアがクッキーを食べ始めた。
クッキーが次々とマグカップに飛び込んでいく。
たっぷりあったクッキーは、瞬く間になくなった。
「おい、まだ私はひとつも食べていないぞ。卑しん坊のココアめ。」
月が嘆くと鬼は言った。
「もう一度作りましょ」
「でも、またココアが食べちゃうかもしれない」
「心配ないわ、キナリちゃん。ココアはもう満腹で食べられないはずよ」