懸恋-keren-
超短編
2005年5月21日土曜日
A HOLD UP
「手を挙げろ」
言われて少女はピッと両手を挙げた。
相手は拳銃を持ちながら笑う。中年の男だ。
「お嬢ちゃんに言ったわけじゃない。こっちのお月さんに用がある。まず手を挙げろ」
「なんの用だ?」
月が手を挙げながら問う。
「えーと。あの木のてっぺんに引っ掛かった、ラジコンヒコーキを、取ってほしいのだ」
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