ビルの壁、街灯、道路、街中に貼り紙がしてある。
『THE MOONRIDERS参上』
「街を汚して……けしからん。掃除しなければ」
月の機嫌は悪い。
「ナンナル、ムーンライダーズって何?」
「私のファンクラブと名乗る、いかがわしい団体だ」
「ふーん。そのファンクラブの人たち、どんな人?」
「……会ったことがないから、知らない」
少女は声を立てて笑った。
「会ったことがないのに、どうしてファンクラブだとわかるの? キナリは会いたい、ムーンライダーズ」
少女の笑顔を見て、月は混乱する。
「お返事の貼り紙を貼ろう。『歓迎THE MOONRIDERS』って」
貼り紙の掃除はその後でいいか、と月は思いはじめる。