着替えを終えた者は、儚げな少年だった。
「ほう、これが正体か。百戦錬磨の兵、若いとは思っていたが、思っていた以上に幼いな。この細腕で一体幾人を……」
少年は薄い着物を纏い、その細い腕を所在なさそうにぶらぶらとさせながら
「なぜ俺にこんな格好をさせるのだ!」
と怒鳴った。
青年は構わず、少年を値踏みするように見やる。
傍らには鎧兜が転がっていた。あちこちに飛び散った血はまだ乾いていない。
例の小兵を必ずや生け捕りにしろと命令した大将は、この少年を最初から慰みものにするつもりだったのだ。大将が自分に飽きているのは、もうわかっている。
青年は少年の耳に囁いた。「いいことを教えてやろう」
息を吹き掛けられた耳が赤くなる。
大将は壁の穴からそれを覗き見ている。