2008年1月14日月曜日

ヲトメゴコロ

ヲトメは可愛いお人形にもキラキラのポシェットにも、素敵なドレスにも、クリームたっぷりのケーキにも振り向かない。喜ぶふりをしているだけ。
ヲトメが一番ココロときめくのは、嵐の晩に船が転覆しそうになるのを、双眼鏡で眺めること!あぁ、なんと胸が踊ることだろう、とヲトメは頬を上気させる。稲光に照らされるこのヲトメの横顔を、あのびしょ濡れの甲板員たちに見せてやりたいもんだ。恍惚としたその表情に、いてもたってもいられないはずだよ。
けれども、本当に転覆してはいけない。本当に転覆したら「なんと悲しく嘆かわしい」と泣いてみせなくてはならないからね。