懸恋-keren-
超短編
2008年1月1日火曜日
二枚目と三枚目
契約書は全部で三枚目あった。
一枚目は白い紙に甲だの乙だの印鑑だの、一見して契約書とわかる。
二枚目は真っ赤な紙だった。三枚目は真っ青な紙だった。
二枚目にも三枚目にも文字は書かれていない。何の為にこんな色の紙が付いているのか。
一枚目を再び熟読した。契約内容には問題ないが、やはり二枚目と三枚目の色紙については一切触れられていない。
二枚目と三枚目を重ねて透かしてみた。見事な紫色が広がった。紫色の中に「嘘」という小さな文字が浮かび上がった。
では、真っ青の意味は……鏡を見るまでもない。
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