コンサートに行くからと小父さんは服をくれた。
「これ着るの?」
「そうだ」
「はずかしいよ」
しばらく抵抗してみたが結局着て出掛けた。
きまり悪いままホールに着いた。
静かに幕が上がる。
初めて見る楽器だらけで、ぼくは夢中になった。
あの楽器はどの音だろう?どうやって音をだすんだろう?
気付くと横にいるはずの小父さんが、いない。
ぼくは不安になった。でも立ち上がるわけにはいかない。
とうとう全ての演奏が終わった。他の観客は帰り、広いホールにぼくはひとりぼっちになった。
そしてアンコールが始まった。