2003年6月10日火曜日

雨を射ち止めた話

十分でいいから、止んでおくれ!
かれこれ小一時間雨宿りしていた。
土砂降りの雨は道に川を作っている。
ぼくはパンを買いにきて小さな女の子と友達になった。
迷子の女の子は、お呼ばれの帰りで、ピンクのワンピースにきれいな包みを抱えていた。
パンも女の子も濡らすわけにいかない。
女の子はぼくの手を握り締めてしくしく泣いていた。
「坊主、これをやろう」
振り向くと白いマントの人が、ピストルを差し出していた。
思わず受け取るとその人は消えた。
銃口を空に向け引き金を引いた。衝撃が走った。
女の子は、けたけた笑った。