濃い霧の晩だった。
ツタが絡み付いた古いアパートメントの二階からおさげ髪の女の子が手を振っているのがわかった。
小父さんとぼくとフクロウは、急な階段を昇って女の子の部屋に行った。
ドアを開けると女の子は小父さんに飛び付いた。
「わたし、お月さまにずっと会いたかったの!」
深緑の目が輝いた。
ぼくたちは女の子が出してくれたクッキーと紅茶を飲みながら遊んだ。
ぼくが手品をし、小父さんはおどけてみせた。フクロウは昔話をした。
女の子はとても喜んだ。
翌朝、一人で女の子会いに行くと、そこは雑草だらけの空き地だった。