「少年、外へ出るぞ」
突然、小父さんは飛び出して行った。
外には白いバイクにまたがった人がたくさんいた。
ぼくは驚いて小父さんの影に隠れる。
「恐がることはない、彼らはムーンライダーだ。みんなで街を走るぞ」
小父さんは、一番大きなバイクに乗った。ぼくはその背中にしがみつく。
「出発!」
何十もの白いバイクが真夜中の街を音もなく駆け抜ける。
でもすごい風だ。白い一隊が通ると街路樹もガス燈も大きくしなる。
「アタシも乗せてー」
と叫ぶのはマネキン。ワンピースがお腹まで捲れあがっている彼女に、ぼくは手を振った。