懸恋-keren-
超短編
2002年11月30日土曜日
ココアのいたずら
「今夜は冷えますな。暖かいものが飲みたい」
「うちへ寄っていきませんか?ココアでも飲みましょう」
「ココア……それは面白い。お邪魔しましょうか」
お月さまがなぜ「面白い」と言うのか、わからなかった。
なぜならそう言ったお月さまの顔はちっとも「面白い」ように見えなかったのだ。
とにかく家にあがってもらい早速熱いココアを作った。
お月さまは「おいしい」と言ってくれたが震えていた。
私も一口飲むと一度脱いだ外套を慌てて着た。
「暖まるためにココアを飲むと、ココアはひがむことがあるんですよ」
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