懸恋-keren-
超短編
2002年11月12日火曜日
雨を射ち止めた話
お月さまが言った。
「今度、雨降りの晩に手でピストルを作って雨を射ってごらんなさい。」
すっかり忘れていたのだが、冷たい雨の日の帰り道にふと思い出した。
腕を伸ばし親指を立て人差し指を空に向ける。
「バーン」
カランコロン
「痛っいなー」
雨降り小僧は小さなビンに入っていた。
「あっれー?照照坊主じゃないんだぁ。あはっ!」
雨は雨のくせに陽気だった。
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