懸恋-keren-
超短編
2002年11月25日月曜日
はたして月へ行けたか
「さてと。では行ってくるよ」
行き先は?と聞いたら「ちょっと月まで」なんて便所にでも行くような口振りで友が出て行った日は、今日と同じような落葉も濡れる秋の雨の晩だった。
「月、出てないじゃないか」としか言えなかった俺も馬鹿だったがお前はもっと馬鹿だったよ。
となりで飲んでるお月さまにお前の消息を聞けずにいる俺は二十年経っても、やっぱり馬鹿なままだな。
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