懸恋-keren-
超短編
2002年11月20日水曜日
ガス燈とつかみ合いをした話
「前から気になってたんだが、おたく独り言が多いよ。黙って聞いてりゃ人の悪口ばかり言いおって」
そんな声が聞こえて見回したが誰もいない。
「誰だか教えてやろう、あんたの右側にいるガス燈だよ」
私はガス燈につかみかかったが、びくともしなかった。
明くる朝、白いお月さまにこの話をしたら
「黒猫にはご用心」
とあくびしながら応えた。
すると黒い影がすっと横切った。
「本当だ!」
例のガス燈は三日寝込んだらしい。
次の投稿
前の投稿
ホーム