懸恋-keren-
超短編
2002年11月8日金曜日
キスした人
『スターダスト』の前の道で、お月さまが誰かと熱い接吻を交わしているのを目撃してしまった。
とても熱烈だったので、こちらが赤面し、そそくさと店に入り、〔ブルームーン〕を頼む。
しばらくしてお月さまが隣に座った。
「見苦しいところをお見せしました。おや、ブルームーンですな。ではわたしは……〔エンジェルキス〕を」
「ずいぶん甘いのがお好きなんですね」
今のはちょっと嫌味が過ぎた。
「いやいや。実は、先ほどの相手は天使なのです」
「え?」
「彼らは私のキスが必要でしてね」
次の投稿
前の投稿
ホーム