「昨日の夜、バーン バーンってうるさくってさあ。こんな寒いのに花火ってことはないと思うんだけど」
そんな話し声を耳にして、昨晩の出来事をよく思い出してみる。
確かに音が聞こえたけれど、もう布団の中で眠りかけていたからあまり気にならなかった。
どこかの若者が、花火でもやっているのかと思ったから。
何時間後かわからないが、そのあとフト目が覚めた時、部屋がやけに明るくて、窓を開けてみたらキラキラ輝くゴミが降っていた。
ちり紙とか、ラジオとか。ちびた鉛筆とか、底抜けの鍋とか。
とても綺麗だったので、そのあと15分くらいそれを眺めた。
「バーン」という音は、ずいぶん遠くで聞こえたから、たぶんそこでも数時間後にゴミが降るのだろう。
そんなイタズラをするのは、流星と黒猫に決まってる。
でも、それは誰にも言わないでおこう。信じてくれる人はいない。
なにせ、降ってきたゴミは朝にはさっぱり消えていたから。