「今日の満月はいつもに増して綺麗ですなァ」
「いかん。またあいつらの仕業だ。……一緒に来ますか?」
お月さまがそう言うのでわけもわからず付いていくと廃墟のようなビルに着いた。
「静かに。ここがあいつらのアジトです」
お月さまにつられてヒソヒソ声で尋ねる。
「どんな奴らなんですか?」
「まあ、見ればわかりますよ」
音を立てぬよう、革靴を脱いで階段を上り屋上へ。
フライパンような形のものがついた装置を月へ向け巨大な鉛筆のような装置からは光が飛んでいる。
「あれで月光を吸い取り、かわりにニセモノの月光を作っているのです」