懸恋-keren-
超短編
2009年1月19日月曜日
ヌバタマの呟き
キナリに抱かれると眠たくなるが、ナンナルに抱かれていると、なにやら目が覚めてくる。それは、冬の冴えた三日月を眺めている時の気分に似ている。キナリに言わせると、瞳の緑色が輝いてくるらしい。
「そりゃ、お前さんがエメラルドなんか飲み込むからだ」
ナンナルは笑う。
そのエメラルドの指輪は、今はキナリが持っている。だが、もう一度飲み込みたいとは思わない。あの時ほどにおいしくはないだろう。この緑色は手に入れてしまったから。
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