2009年1月30日金曜日

幻術遣いは誰であるか

少女が公園で遊ぶ間、尻尾を切られた黒猫もまた、公園で遊ぶ。
少女がブランコで遊べば、黒猫は滑り台の上に丸まってそれを眺める。
黒猫が植え込みの中を散歩すれば、少女はそれを追い掛けまわす。
そんな時、月は黒猫を抱きベンチに腰掛けて少女を見守っている。膝の上の黒猫は黒猫ではなくカボチャだということに、月はなかなか気が付かない。少女が笑う。
「ナンナル、またカボチャを抱いてる」
「ヌバタマが何やら術を使って騙すのだ」
と月は言うが、公園に行く度に手頃なカボチャが落ちているから、黒猫はカボチャが月を惑わしているに違いないと考えている。