2022年7月16日土曜日

#7月の星々 「放」投稿作

たくさんの街を見た。色の薄い街、猫が喋る街、風が美しい街、毎晩が満月の街……。人生の後半は旅の日記をまとめ、本を執筆するつもりだった。かつてない放浪記になるはずだった。 今、膨大な日記帳を前に困惑している。文字が読めないのだ。言語習得能力が奇妙に高かった若かりし自分を恨んでいる。