超短編
舟に作ってくれた手は節くれ立ってシミだらけだがやさしい。どうやら年寄りの男で、慣れた調子で一介の笹の葉を姿のよい舟に仕立ててくれた。 さぁ出発だ。せせらぎの水は冷たく、緑が増す心地。こんな清らかな水なら、流されるのも悪くない。