超短編
その書家の書は、見る者を恍惚とさせる力があった。ある者は「眩い光を見た」といい、またある者は「麗しい香りがした」という。噂によれば、幻獣の尾の毛で作られた筆で書かれるという。それを信じた凡庸な書家たちは筆を捨て、幻獣探しに夢中だ。