超短編
三輪車は何十年もここにある。元の色がわからないほどに朽ちているが、私は鮮やかな水色だったことを覚えている。私の三輪車だったのだ。幼児の数年間、乗り回し、ある日突然使わなくなって、そのままずっとそこにある。私は毎日、三輪車を一瞥する。