ぼくは黄色い傘を開いて、すっと女の子に差し掛ける。お嬢さん、お這入んなさい。聞こえないくらいの小さな声で呟きながら。
女の子は、決まって驚く。そりゃそうさ、空は雲一つない青空だもの。
ぼくは構わず女の子に歩調を合わせて歩く。
青空に黄色い傘で相合傘。歩いて三歩で、ホラ。どしゃぶりだ。
女の子は慌ててぼくにぴったりとくっつく。だってこの黄色い雨降り傘は、とても小さいもの。くっつかなくちゃ、びしょ濡れだ。
びしょ濡れの女の子も素敵と思うけどね。
ぼくは雨と傘にウィンクする。作戦成功。
そんなぼくの横顔を、女の子はうっとりと見上げるんだ。