2008年4月19日土曜日

裏の公園

公園の水飲み場の水を出しながら、目を閉じてくるくるとターン、四回転。
目を開けるとそこは、さっきまでの明るい公園ではない。
空は暗く、緋色の月が出ている。
遊具はまったく同じだけれども、ブランコも滑り台も今にも崩れそうに錆びている。
だけど僕にはこちらの公園が居心地よい。
遊んでいる子供はいないけれど、腐ったベンチにいつも座っているおばあさんがいる。
僕は錆びたブランコに乗る。立ち乗りだ。
漕ぐたびにガリガリギーコと錆びが削れて赤茶の粉が舞う。
999回漕いだらお仕舞い。

水飲み場の蛇口をひねり、鉄の味がする赤っぽい水を飲む。もとの公園だ。
飲み干して顔をあげると、しっぽをベンチにぐるぐると巻き付けた猫と目が会う。あっちの公園のおばあさんによく似ていると思う。

時々、猫の上に座ってる人がいるから、注意しようかどうか迷う。なぜ猫を避けて座らないのか、僕には理解できない。