懸恋-keren-
超短編
2008年4月25日金曜日
差し出された
差し出された薔薇には、朿がなかった。
なのに、受け取った途端に鋭い痛みと出血。
あなたは、相変わらず動かない微笑みで、私を見つめている。その微笑みが嘘だとどうしてもっと早く気が付かなかったんだろう。
流れ出た血を開ききっていない花に垂らす。薔薇は生き生きと赤くなり、びっしりと朿を生やした。
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