「あ、あのガス灯切れてる」
少女と月が夜道を歩いていると、一本の切れたガス灯を見つけた。
「どれ、私が見てみよう」
月がガス灯にしがみついてスルスルと登りはじめると、街灯は暴れはじめた。
「な、なんだ。修理してやるだけだぞ」
それでもガス灯が暴れるので、月は力尽くで抑え込む。
「待って、ナンナル。ガス灯が泣いてる。壊れてないから構うな、って。今夜は静かにしていたい気分なんだよ、きっと」
月が降りると、ガス灯はパッパと点滅した。
「どういたしまして」
「キナリ、ガス灯の言うことがわかったのか?」
「ナンナル、飴あげる」