三日も雨が降り続いていた。風はなく、シャワーのように細かい雨が、ただひたすら降る。
路上で絵を描く長い名の絵かきは商売ができないと頭を抱えていた。
鬼は「ツノがカビちゃうわぁ」と愚痴をこぼした。
公園のブランコは確実に錆が増えた。
しっぽを切られた黒猫は、ヒゲ一本動かさずに眠り続ける。
少女は退屈していた。雨の町を窓から眺めるのは、嵐の晩だけで充分だ、と思った。
「もう!雨なんかこうしてやる!」
少女は舐めていた飴玉(もちろんリンゴ味である)をパチンコのゴムに引っ掛け、空に向け放った。
雨はハタ、と止んだ。