明日になればまた一つ、甕が増えるだろう。今夜もまた、隣の部屋から押し殺した姉の声が聞こえる。そっと襖を開いて覗く。
姉さんの部屋には、小さな素焼きの甕が壁いっぱいに積み上げられている。甕棺墓、と密かにそう呼んでいる。実際、あの甕は棺だから。
姉さんは蛇を見つけては持ち帰る。毒のあるのもないのも、細いのも太いのも関係なく、絡み合う。
姉さんの浅黒い肌が赤く火照っているのが襖の隙間からでもわかる。今夜はまた一段と細長い蛇が、姉さんの躰にきつく巻き付いている。
こうして一晩たっぷり戯れて、明け方になるとクイッと絞め殺すのだ。
涙を流しながら、硬直した蛇をぼきぼきと折り、畳み、甕に納める。祈りの唄を呟く口から、先割れた舌が見え隠れする。
泣き腫らしたまま、また蛇を求めて出掛けてしまう。
わたしは、姉さんが出掛けると甕を開けて、死んだばかりの蛇を、股間に擦り付ける。