2008年7月21日月曜日

打ち上げ花火

どどんと一発目の花火の音が響くと、むくむくと土の中から這い出す。
花火を見上げながらずるずると川まで這ってゆく。花火の音で、ぶるぶると身体が震える。
川に着く。川面に映る花火が揺らぐ。花開いた瞬間に素早く飛び込む。一年分の垢を落とし、存分に泳ぐ。夜だからか、花火に怯えるのか、魚は皆息を潜めている。
ひときわ大きな花火が上がり、川の中にも閃光が走り、地鳴りのような振動が水を激しく揺らす。気を遣る。
いそいそと川から上がる。緑がかった白い身体が、花火に照らされて輝く。
名残の尺玉を背に映しながら、ねぐらにもどってゆく。ゆらゆらと歩く項には、火薬の匂いがする。