懸恋-keren-
超短編
2004年7月8日木曜日
ピエロのデュエット
夏の夜、寂しい道化師が街灯の下で唄い踊る。
街灯の灯りに照らされて、道化師は影とのデュエットを始める。
少年とマヌカンの愛の唄。
集まる観客は蛾ばかりだ。
でも、かれらは小さな声で唄う道化師と、もっと小さな声で唄う道化師の影のお客に
ふさわしい。
それに道化師は知っている。月が彼の踊りを見守っていてくれることを。
ほら、唄い終わった道化師の足元にジンジャーエールの瓶が転がっている。
次の投稿
前の投稿
ホーム